対談記事

「新しい働き方」を成功に導く意外なポイント

意識調査で判明、Web会議の成功を阻害する最大の理由と対策は?

※本ブログは、日経BPの許可により2022年5月17日公開の日経XTECH ACTIVEから一部抜粋しています。禁無断転載。

 

コロナ禍の発生から約2年、社会が大きく変わった。企業ではテレワークが普及し、オフィスと在宅を組み合わせたハイブリッドワークが新たな働き方として定着している。これを支えているのは、Web会議を中心とするオンライン・コミュニケーションだ。そこでいま、大きな課題が浮上している。「音」に関するトラブルだ。

 

「相手の声が聞きづらい」「周囲のノイズがうるさくて聞こえない」といった音に関する悩みが多くの企業で顕在化し、トラブルも増えている。音はWeb会議の生命線だ。映像がなくても会議はできるが、音が悪ければ会議の続行自体が不可能となる。また、重要な顧客との打ち合わせや商談がオンライン化する中で、音を聞き取れないトラブルが顧客や従業員のストレスを一気に高めている。「音」は担当者の印象を左右するだけでなく、適切なネットワークインフラを用意できない会社として、企業のブランドイメージを損ねてしまうことにもなりかねない。ビジネスの成果にまで影響を及ぼすこともあるのだ。

 

そこで、会議室やWeb会議施設の音響設備に投資し、間違いのない確実なコミュニケーション環境を整備する企業が増えている。Web会議は「会社の顔」だ。適切な投資を行うことで音がクリアになり、確かな意思疎通が可能になることで顧客の印象は大きく改善する。「ITに強い会社」というイメージにもつながる。

 

ICTネットワークインフラを取り入れたオフィスの構築のプロとして知られる内田洋行と、世界的な音響メーカーのシュア・ジャパンは、両者の強みを生かしてハイブリッドワーク時代を支える確かなWeb会議空間を創出している。生産性を高め、企業競争力につながるコミュニケーション環境の実現に必要なものは何か。両社のキーマンが語り合った。


調査で判明、テレワーク最大の課題 音が悪いだけで、Web会議の続行自体が不可能に?

 

大友 コロナ禍の前後で、お客様にどのような変化を感じていますか。

 

東田 デジタルを介したコミュニケーションが急速に進んでいます。当社は企業、文教、公共を含むあらゆる分野で環境構築のお手伝いをしています。企業において、テレビ会議のシステムは、以前からありました。コロナ禍になる前は、本社と各事業所など、特定の拠点をつなぐ据え置き型のものが主流でしたが、コロナ禍によってそれらがWeb会議へとシフトしました。場所を問わず、どこからでも会議に参加できる仕組みが求められています。

 

また、小中学校では文部科学省の「GIGAスクール構想」が軸となっていますが、当初は2019年度から5年かけて環境を整備する予定でした。それがコロナ禍で一気に加速し、2021年末の時点で1人1台のタブレット環境の導入が圧倒的に進みました。

 

株式会社内田洋行 経営・人事・総務統括グループ 総務法務部 ショールーム課 課長 東田 剛明 氏

株式会社内田洋行 経営・人事・総務統括グループ 総務法務部 ショールーム課 課長 東田 剛明 氏



一方、大学ではハイフレックス型授業と呼ばれる、対面とオンラインが可能な学習環境の整備を急いでいます。また民間企業では、オフィスと在宅を組み合わせたハイブリッドワークが普及しつつあり、やはりリアルとオンラインの同時参加を可能にする会議室や、1人でWeb会議ができるブースのような設備を望むお客様が増えています。

 

大友 2020年12月に当社が行った約1000人のビジネスパーソンを対象にした調査でも、すでに管理職の3分の1がほぼ毎日Web会議をしているという結果でした。コロナ禍を経てさらにWeb会議は普及していますが、おっしゃるように、据え置き型のテレビ会議用専用システムからWeb会議へシフトすると、必ずと言ってよいほど「音」の課題に直面します。


シュア・ジャパン株式会社 インテグレーテッドシステムズ シニアディレクター 大友 裕己

シュア・ジャパン株式会社 インテグレーテッドシステムズ シニアディレクター 大友 裕己

 

東田 そうなんです。Web会議の最大の課題は音でしょう。映像が途切れても会議は続けられますが、音が聞こえにくいと会議の続行自体が不可能になります。音はまさにWeb会議の「生命線」であり、相手の声が聞きにくい場合のストレスは、映像の比ではありません。

 

大友 前述した当社の調査でも、Web会議に感じる不満のトップ5のうち4つまでが音に関する問題でした。


発言者が室内のどこにいてもクリアに収音。Web会議のストレスが激減



東田 音の問題はやっかいです。従来のようなハンドマイクや卓上マイクの場合、発言者の場所を特定しないと音が安定しません。しかしハイブリッドワークの普及により、会議室にいる人数や机の配置が頻繁に変わるようになりました。そうした変化のたびにマイクの位置を調整する必要があり、手間と時間がかかります。

 

さらに、多くの大学が目指しているハイフレックスのような環境になると、不特定多数の学生がどの位置で発言しても、声をクリアに拾わなければなりません。マイクのせいで発言者の立ち位置が決められるようでは困るわけです。

 

まずは、当社の役員会議室の音響をベストなものにしようという話になり、シュアさんのシーリングアレイマイク(天井設置型のマイク)をテストさせてもらいました。そのとき、性能が抜群に良くて驚いたわけです。室内のどこで話してもクリアに収音でき、音質のばらつきもありません。天井に設置できるマイクは他のメーカーも出していますが、シュアさんの製品は一歩秀でていると感じます。

 

大友 シュアの創業は1925年、アメリカのシカゴが本社です。オリンピックやグラミー賞など、一瞬の音切れも許されない環境下で音響技術を磨いてきました。内田洋行さんにご採用いただいているシーリングアレイマイク「Microflex Advance MXA 910」やオーディオプロセッサー「IntelliMix P300」は、そうしたオーディオエンジニアリングを会議室向けに応用したものです。

 

MXA 910は「アレイマイクロホン」といって、離れた場所からスポットライトのように発言位置を狙うことができます。会議室内のレイアウトや発言者の位置が移動しても、収音する範囲を設定ソフトウェアで変えるだけで対応できます。意匠性にも優れており、天井に設置しても目立たず、部屋のデザインに溶け込みます。


1台で広い範囲の発言をカバーでき、エレガントなデザインの「MXA910」。

1台で広い範囲の発言をカバーでき、エレガントなデザインの「MXA910」。



また、オーディオプロセッサーの役割も重要です。マイクが高性能だと、音声と共に、空調やプロジェクターなど様々なノイズも拾います。また、自分の声がWeb会議の相手側のマイクに拾われて戻ってきてしまう「エコー」という現象が問題になることもあります。IntelliMix P300は、独自の制御技術でこうしたノイズやエコーを抑制する性能が業界でも群を抜いています。さらに、ソフトウェア版のIntelliMix Roomは、紙をめくる音やタイピング音など、突発的なノイズを特殊なアルゴリズムを駆使して取り除く「AIディノイザー」という機能も備えており、ご好評いただいています。


オンライン会議でのエコーやノイズを抑制するほか、発言音量の差を整えるなど、会議音声を強化するオーディオプロセッサー「IntelliMix P300」。

オンライン会議でのエコーやノイズを抑制するほか、発言音量の差を整えるなど、会議音声を強化するオーディオプロセッサー「IntelliMix P300」。

 

東田 役員会議にも一部、まだ紙の資料がありまして、ガサガサした音が出るとリモートで聞いている相手は論点が聞こえづらくたまりません。実際にそういった声を遠隔会議で言われることも多く、当社でも困っていたのです。MXA 910とIntelliMix P300、そしてAIディノイザーが実装されたIntelliMix Roomを導入し、その問題を解消できました。そうした経緯をお客様に話すと共感してくださる方が多く、同じ悩みを抱えている方が多いことを実感しています。


内田洋行はShureの優れた音響システムを取り入れた独自のライブショールームを自社の社屋で公開し、官公庁、自治体、教育委員会、企業などさまざまな顧客向けに提案している。

内田洋行はShureの優れた音響システムを取り入れた独自のライブショールームを自社の社屋で公開し、官公庁、自治体、教育委員会、企業などさまざまな顧客向けに提案している。



大友 MXA 910とIntelliMix P300の組み合わせは、極めて高品質な音空間を創出します。当社にはそれ以外にも、様々な会議空間を比較的コストを抑えながら改善できる製品群もあり、用途や目的に応じて幅広く活用していただけます。マイクの癖や挙動をよく知っているのは、やはり私たちマイクメーカーです。


高性能な音響システムをお客様のニーズに合わせてトータルに提案



東田 当社の特長は、お客様の働き方や学ぶ環境に合わせてオフィス家具や内装からプロジェクターや音響まで、空間をお客様のニーズに合わせてトータルに提案できることです。特にIT機器やAV環境をスマートに組み込めることが強みです。




当社独自の「SmartInfill (スマートインフィル)」というアルミニウム合金製のフレームシステムを使えば、各種照明やプロジェクター、スピーカー、マイクなどの機材をベストな位置に設置できます。また、カーテンの開閉から照明の強弱、プロジェクター、マイク、スピーカーの設定などをスマートフォンやタブレットから誰でも簡単に操作できる「codemari(コデマリ)」という独自開発のアプリケーションがあります。

 

シュアさんの機材もcodemariから容易に制御できます。マイクの指向性や音量の上げ下げを直感的に操作できるだけでなく、用途別にあらかじめ設定した複数のプリセットを、タブレットからワンタッチで切り換えることも可能です。その際に、映像や照明も一緒に切り換えることができます。

 

大友 専門性の高い音響機材も、codemariを介すと誰にでも容易に扱えるようになりますね。ユーザー目線で親しみやすいシステムに仕上げていらっしゃる点は、さすが内田洋行さんだと感じ入ります。




東田 ITをうまく活用してコミュニケーションの質を高めていくことは、今後ますます重要になっていきます。お客様とのやり取りも対面からオンラインへと移り、音の良さが会社やブランドのイメージにつながる時代になりつつあります。だからこそ、いま会議室のAV環境に投資する企業が増えているわけです。

 

当社の強みは、まず自社でしっかりと体験し、確かなものだけをお客様にご提案できることです。今後もシュア・ジャパンさんのお力をお借りしながら、このスタイルを貫いていきたいと思います。

 

大友 ビジネス環境が変化しても、組織内のコミュニケーション向上は重要なテーマであり続けます。ユーザーと距離が近い内田洋行さんのようなパートナーと組むことで、企業や公共、教育の現場のお困りごとを丹念に知ることができます。音響の専門メーカーとして、今後も様々な音の課題を解決していきたいと思います。


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